留学を決心するまで時間はそうかからなかった。前々から留学のことも含め海外に興味があった。 親ともそれについて話したことがあった。しかし現実的ではなく、そこまで深く考えていなかった。 いつしかそんな話も忘れ、普通の学校生活を送っていた。そんないつもと変わらないある日のこと。 休み時間に友達からビックリする話を聞かされた。今思えば、俺の留学はこれがきっかけだった。 「慎太郎が留学するらしいぞ!」 え!?あのマサイが!? 俄かには信じがたい話だった。 直接本人に聞いてみると、慎太郎はこう答えた。 「そうなんだよ。実は留学することにしたんだ。でもみんなには、内緒にしといてくれよ。」 本当だったのか・・・。このことが俺の留学したいという気持ちを再燃させた。 その日、偶然にも学級主任兼英語の先生から詳しく留学についての話を聞くことができた。 すると、金さんも留学するという事が分かった。なんと!いつの間にそんなお話が! もうこうしちゃいられない!考えるより行動が先の俺は、いつの間にか留学機関の資料を手にしていた。 AY●SA インターナショナルという留学機関だ。その先生が関係者だということで薦められたのだ。 このことが後々大変なことになる。まだこの時は後々大変な目に遭うとは予想すらしていなかった・・・。 この時、すでに締め切りの3日前。考えてる暇などどこにも無かった。家に帰るとすぐさま親に相談。 もちろんそういう話を急に決められるはずが無い。そんなこと百も承知である。しかしもう時間がない。 親はこの時、賛成はしていなかったが、俺は1人で話を押し進めていった。 ←戻る |
それからは毎日大忙し。写真を撮ったりや書類を送ったりと、やることは腐るほどある。 残された時間は3日。親にも「何でもっと前からやらなかったのよ!」などと文句を言われた。 そんな留学機関の事なんて知らなかったし・・・などと、ほざいている暇など無い。急がねば。 直接事務所にも何度も足を運んだ。郵送では期日に間に合わず書類を直接持ち込んだりもした。 学校帰りなど制服のまま乗り込んで、説明を聞いて、ビデオを見せてもらって・・・。必死だった。 東京近郊に住んでいてよかったと正直思った。北海道や沖縄だったら確実に間に合わなかった。 そして、テストも受けなければならない。年に4回テストがあって、何回も受けることができるらしい。 ところが俺の場合、最後の4期しか残ってなかった。かなり不安があった。落ちたら即終了である。 テストの準備もできずに当日を迎えた。唯一できることは遅刻しないように早めに家を出ることだけ。 緊張して早めに出たのはいいが、計算が狂って役員の人たちよりも早く着いてしまった。会場一番乗りだ。 予定時間の1時間半ほど前に着いてしまった。さて、一応参考書に目を通しとこう。最後の悪がきである。 そう思ってカバンを開けたが筆箱以外は何も無い。何も持ってきていなかった。嗚呼、なんて俺はバカなんだ。 何もすることなく1時間半もの時間を潰した。ギリギリになって同じく留学する金さんが会場に到着した。 何で家近いのにギリギリなんだよ、と思ったがとにかく試験開始。死に物狂いで解いた、解きまくった。 何とか試験を終えると試験官の口から衝撃の言葉が。俺は自分の耳を疑い、一瞬にして凍りついた・・・。 「え〜、それでは次は保護者との三者面談です」 え?何それ?そんなの知らない・・・。正確には知っていたが、前に親に言ったきりだった。 家を出る時に今日だと言っていなかったのだ。正直言うと、俺もすっかり忘れていた。 運良く俺の時間は最後の方だったので、ロビーから親に電話。その時は何とか事なきを得た。 もちろん親には文句を言われたが・・・。どうもありがとうございました。この一言に尽きます。 さて、金さんと三者面談までの時間を潰すことに・・・。とは、言ったものの何もすることがない。 この時、俺にはくつろぐ余裕などなかった。親が間に合うかどうか、気が気ではなかった・・・。 コンビニに昼飯を買いに行き、試験会場のロビーで食べた。それからどれぐらい待っただろうか。 話のネタも切れてきた頃に見知らぬ青年が近づいてきた。どうやら金さんの友達でもなさそうだ。 「やぁ、試験どうだった?」 どんな会話をしたのか、あまり覚えていない。その時は同じ境遇の仲間が増えたという感じだった。 彼は高3のマサ。このマサとは、これからも長い付き合いになるのである。 彼も交えて3人で時間潰し。そして、いよいよ迎えた三者面談。ある意味試験よりもイヤだった・・・。 親に何を言われるか心配だったが、うまく口裏を合わせてくれた。あの時は、母親が女神に見えた。 数日後、ポストに AY●SA からの封筒が・・・。正直中を見るのをためらった。そして一気に開封。 そこには合格通知が。そう、留学することができるのだ。ガッツポーズとともに口からは雄叫び。 マジで嬉しかった。でも、ここからがさらに大変だった。注射だ戸籍謄本だと、駆けずり回って・・・。 まぁ、目標がある分あまり苦にはならなかったけど・・・。 ←戻る |
このオリエンテーションで、一緒に留学する仲間達と初顔合わせ。 AY●SA 生の8割以上を女子が占めている。男子は極少数なのだ。 中高と男子校の俺にとってはかなりドキドキだった。緊張して話せないのだ。 新宿にある施設に数日間泊まって、留学に関する説明などを受けるというもの。 かなりテンションが上がっていた。この日も予想通りかなり早く着いてしまった。 することもなく建物の中をあっち行ったり、こっち行ったり。いわゆる暇潰しである。 しばらくして再度待ち合わせ会場に足を運ぶと、すでに結構な人数が集まっていた。 なんだかみんな英語がペラペラに見えて恐ろしかった。何となく出遅れた感じ。 さて、気を取り直して慎太郎と金さんでも探すとしよう。俺は会場をぐるりと見回した。 お!いたいた!でも、慎太郎は俺が留学する事など知らない。一体どんな反応をするだろう? 後ろからそっと近づき「おい!マサイ!」と一言。何てステキなニックネームなんだ・・・。 慎太郎の周囲にいた人は、「なんだ!?マサイって!」というような感じで振り向いた。 一番驚いたのは、言うまでもなく慎太郎本人だろう。キョトンとした顔で俺の顔を見ていた。 慎太郎もようやく悟ったようだ。 「お前も留学するのか?」 「うん!じゃなきゃここにいないし!」 「はっ!?はっ!?マジで?」 相当驚いたようだ。とりあえず席についてカバンを下ろした。まだ信じられないらしい。 しばらく色々と話してから金さんはどこだ?ということになり、会場を見回すがいない。 頭を見ればすぐに分かる。トレードマークの大仏のような天然パーマを探すがどこにもいない。 まさか・・・。そう、そのまさかは当たってしまった。遅刻。これは金さんの特徴のひとつでもある。 みんな日本中から集まってるのに、区内に住んでるお前が遅れてどうする!心の中でツッコんでおいた。 オリエンテーションが始まって、まずはリーダー達(OB)の紹介。その後、部屋割りがあった。 俺の部屋は柔道部が2人、空手部が1人、そしてバスケ部が1人の超スポーツマニアっぽい部屋。 部屋に入ると早速スポーツトークに花が咲く。異常なまでに盛り上がってしまった・・・。(笑) こうしてオリエンテーションは始まった。楽しい時間が過ぎるのは早く感じるもの。 仲良くなった友達の部屋に夜中にこっそり出動し、同じリーダーに何度もバレたり。 階段を上っていて、物を拾おうとした女の子にケツで階段から突き落とされたり。 体育会系4人部屋なので、夜中に最後の1人になるまで筋トレ大会やってみたり・・・。 そんなこんなで、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。 最後にみんなと住所交換をしたが、すぐに帰るのは何だか名残惜しい。 と、いうワケで慎太郎と「みんなが帰るまでこの施設に残っちゃおうぜ!」 と、バカなことを言い出して、みんなが帰るまで残ってから家路についた。 これから俺は留学するのに、その実感が全く湧かない。 とにかく気持ちを引き締めて、1日1日を過ごしていこう。 ←戻る |
楽しかったオリテも終わり、学校が始まった。また今までの生活に戻った。 どこかに不安や焦る気持ちがあった。でも、ウキウキする気持ちも少しあった。 留学のことはクラスのみんなには内緒にして驚かせてやろうと秘密にすることに。 自分から話すから内緒にしてくれって言ったのに、担任が口を滑らせてしまった。 さらに、これは聞いた話だが、職員室で先生達は俺の噂をしていたらしい。 「あいつは向こうに行っても無駄だろう」とか「本人は遊び気分なんですかね」とか。 俺の前では「頑張って来い!お前ならきっとできる!」とか言ってたくせに・・・。 コソコソ話すなら堂々と目の前で言って欲しい。これだから先生は信用できない。 話はそれたが、近々みんなと再会しようというメールがパソコンに届いた。 約束の二子玉川駅で待っていると、見覚えのある顔が改札口から出てきた。 久しぶりの再開だ。次々と友達がやってきた。そして、そのまま多摩川の方へ。 知らない人もいたけど、すぐに仲良くなった。さらに場所をファミレスに移して談笑。 今回、みんなと会ったのは俺の中でいい刺激になった。モチベーションも上がった。 さらに後日、前回集まったメンバーから予定の合う人を中心に集まった。 みんなで横浜のインターナショナルスクールのスクールフェスティバルに行った。 英語の授業は受けていたのに、なかなか英語が聞き取れなくてかなり焦ったが・・・。 これじゃマズい。留学前に自分の英語能力をまざまざと見せ付けられた結果となった。 一緒に留学する仲間との再会。自分の英語力不足の再確認。どちらも有意義な時間だった。 留学する前に少しでも自分の英語力を上げなければ。不安と焦り、期待が混ざった変な感覚だった。 ←戻る |
留学を目前に控えたオリエンテーション。だが、今回は親も同伴である・・・。 しかも、前日はお祭りで帰ったのが遅かった。それに対して親はブチギレモード。 今日も直前まで「絶対行かない」と断固拒否されて、必死に説得していた。 そういうこともあって、かなりやりづらかった。まぁ、単に俺が悪いんだけど・・・。 親の横では友達との会話もなかなか弾まない。何ともギクシャクしたオリエンテーションだ。 さて、本題に戻るとしよう。早速マサイ(慎太郎)と金さんを探す。ところがどこにもいない・・・。 しばらくして金さんは来たが、いつまで経っても慎太郎が来ない。まさか、今度はコイツが・・・。 とうとうオリエンテーションが始まってしまった。会場がしーんと静まり返る。 今日のことを忘れているのだろうか?説明も中盤に差し掛かり、俺も半分諦めていた。 と、その時・・・。会場の後ろのドアが静かに開いた。全員の視線が一斉に後ろへと向いた。 すると、そこには風邪をひいた慎太郎の姿があった。野生児も風邪をひくらしい。 その後も延々と説明が続く。みんなひたすら黙ってそれに耳を傾ける。 居眠りしている我が子をつつく親、熱心にメモを取る親、様々だった。 休憩時間には友達と話をしたが、隣に親がいてかなり話しづらい・・・。 結局盛り上がることはなく、今回のオリエンテーションは終わってしまった。 さぁ、いよいよ留学だ。 ←戻る |
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